Vol. 1: 旧軽井沢を歩く

雲場池~ささやきの小径~ユニオンチャーチ~水車の道~御前水… 「避暑地軽井沢」の出発点をたずねる、歴史がいっぱいの散策コース

今回は新緑の美しい「雲場池」から出発することにしましょう。樅や楓の大木に囲まれ水鳥が遊ぶ池のまわりを一周したら、放射状の道が交差する「六本辻」へ。外国人に混じって日本の上流階級の人々が続々と軽井沢に別荘を構え始めたのが大正時代のはじめ。その中心がこの雲場池や六本辻の一帯でした。選りすぐりのテナントを揃えた外国風マーケットや米国製の建売別荘、池の畔のホテルでは外国人がダンスや水泳に興じるという、当時の日本では考えられないほどのハイカラな光景が広がっていたそうです。

東雲交差点へ出て、そのまま東に向かって直進する通りが「新渡戸通り」。海外に『武士道』などの日本文化を紹介し、旧五千円札の顔としてもお馴染みの新渡戸稲造の洋館別荘がこの通りの奥に建っていました。150mほど進み、右手のチャペルの角を左折したら、右手の小さな橋を渡ります。ここから万平通りまで矢ケ崎川沿いに続く道が「ささやきの小径」で、大正12年開設のマンロー病院があったことからサナトリウムレーンとも呼ばれています。万平ホテル前を左折しオーディトリアム通りに入ると、「軽井沢集会堂」「ユニオンチャーチ(音楽会などに使用された大講堂がオーディトリアムと呼ばれた)」「軽井沢会テニスコートクラブハウス」と、米国人建築家ヴォーリズの手掛けた建物が次々に現れてきます。この由緒あるテニスコートで天皇皇后両陛下が出会われたことはあまりにも有名です。

テニスコート通りを抜けて、明治時代の郵便局舎を模した「軽井沢観光会館」のある旧軽銀座通りに出たら、更にもう1本北の通り「水車の道」へ進みましょう。チェコの建築家レイモンドの手による木造教会「聖パウロ教会」を眺めながら、三笠通りを渡って直進します。ここから続く旧ゴルフ(大正9年創設の名門コース「旧軽井沢ゴルフクラブ」)通りには、政財界関係者や大企業が所有する広大な敷地の別荘が多く、ひときわ緑の濃い一角です。

左手を注意してしばらく歩くと、道から少し下がったところに小川が湧いているのがわかります。かつて明治天皇のお茶やご飯を炊くための「御膳水」として供されたことから、地元の人たちはここは御水端(おみずばた)と呼んで親しんできました。この湧き水を堰き止めて造ったのが、さきほどの「雲場池」。 避暑地は誕生した時代の風景が次々と登場する、軽井沢極めつけの約2時間の散策コースです。

WALKING DATA

『雲場池』=バス停「六本辻」(西武高原バス)下車徒歩2分[軽井沢駅より徒歩25分、車4分(専用駐車場あり)]

雲場池――(25分)――ささやきの小径――(20分)――軽井沢集会堂/ユニオンチャーチ/軽井沢テニスコートー (10分)――聖パウロ教会――(15分)――御膳水――(25分)――雲場池